公開映画上映会「ドキュメンタリー映画「カムイチェプ」」
INFORMATION
2007年に「国連先住民族の権利宣言」が国連総会で採択され、それに続き2008年、日本政府は「アイヌ民族は日本の先住民族である」と正式に認めました。では、アイヌ民族は先住民族としての権利をどのように保障されているのでしょうか。
本企画では、毎年、最初に川に帰ってきた鮭を供え、神に感謝するアイヌの伝統儀式「カムイチェプノミ」を追ったドキュメンタリー映画を上映します。現在、川での鮭漁は国と北海道の法律で規制されています。紋別アイヌ協会の畠山敏会長は長年、国や北海道に対し先住権の行使としての鮭漁を求めてきましたが、話し合いが進展しないことから、2018年、許可申請をせずに鮭漁を試みました。しかし警察が出動し、実行することはできませんでした。畠山会長は翌2019年も鮭漁を始めましたが……。
映画上映後は、本映画監督の藤野知明氏と、東京のアイヌ料理店店主であり、アイヌ文化活動アドバイザーである宇佐照代氏の対談を行います。先住民族としてのアイヌの諸権利を制度的?社会的に保障すると同時に、壊してしまった生態系をできるだけ復元し、また、アイヌ個々人が精神的な誇りや自尊心を持てるようにするにはどうしたらいいでしょうか。参加者とともに現在の日本社会の中での先住権の実現について考えます。
講師
ドキュメンタリー作家
藤野 知明(ふじの ともあき) 氏
1966年、札幌生まれのドキュメンタリー作家。主な作品に「サハリンからの声ある北方少数民族の戦後」(1996年)、「八十五年ぶりの帰還アイヌ遺骨杵臼コタンへ」(2017年、マドリード?アジア国際映画祭最優秀ドキュメンタリー作品賞、札幌国際短編映画祭2018北海道セレクション入選)、『アイヌプリ埋葬?二〇一九?トエペツコタン』(2021年、東京ドキュメンタリー映画祭2021人類学?民俗映像部門準グランプリ)など。2024年冬、最新作「どうすればよかったか?」(山形国際ドキュメンタリー映画祭2023「日本プログラム」選出)が全国で劇場公開される。
ハルコロ店主、アイヌ文化活動アドバイザー
宇佐 照代(うさ てるよ) 氏
北海道釧路市生まれ。10歳の時に上京し、アイヌの伝統舞踊やムックリ(口琴)などを習う。北海道ムックリ大会にて2年連続優勝。現在はアイヌ伝統舞踊や木彫り、トンコリ(弦楽器)などに取り組むほか、アイヌパフォーマンスグループ「AYNU RUTOMTE」の代表として踊りを中心に活動中。またアイヌ料理店「ハルコロ」を新宿の大久保にて営業中。映像作家すぎはらちゅんが都内のアイヌ民族らと作ったアイヌ語の短編アニメ「七五郎沢の狐」で声の出演もしている。若い世代が伝承していかなければアイヌ文化が消えてしまうとの危機感から現在、小?中?高校生向けの人権問題体験学習会などの講師を務めている。
森川海のアイヌ先住権研究プロジェクト副代表、フリーランス記者
平田 剛士(ひらた つよし) 氏
著書に『非除染地帯』(2014、緑風出版)など。2022年「森?川?海のアイヌ先住権研究プロジェクト」スタートアップメンバー。北海道滝川市在住。
アジア太平洋資料センター(PARC)事務局長
田中 滋(たなか しげる) 氏
米国コーネル大学大学院在学時からACORN(Association of Community Organizations for Reform Now)をはじめとする米国における低所得者層を支援する社会運動に関わる。帰国後は環境NGO A SEED JAPAN事務局を経て現職。社会的連帯経済を推進する大陸間ネットワーク(RIPESS)やアジア太平洋調査ネットワーク(APRN)など国際的なNGOネットワークの理事も担う。
詳細情報
名称
内容
13:00 開場
13:30 開会の辞:石井正子(本学異文化コミュニケーション学部教授)
森川海のアイヌ先住権研究プロジェクトならびに上映作品紹介:平田剛士氏
13:45 映画「カムイチェプ」上映(94分)
15:20 休憩
15:30 対談:藤野知明氏、宇佐照代氏
16:15 質疑応答
16:30 閉会の辞:田中滋氏