止まらない成長——新体制の中で輝くバックストローカー

水泳部

2023/04/05

アスリート&スポーツ

OVERVIEW

体育会水泳部の活躍を紹介します。

頂点からの景色

ゴールへと懸命に泳ぐ山下結生(手前)/第64回日本選手権(25m)水泳競技大会

「常翔」。常に翔ぶ、全員が向上心を持って上昇し続ける。そんな意味が込められたスローガンを掲げた103代水泳部。1921年の創部から100年以上もの長い歴史を持つ同部は、9月に世代交代を行い、新体制をスタートさせた。

2022年の水泳部は波に乗っていた。4月28日から行われた第98回日本選手権水泳競技大会では、過去最多となる7人の選手が出場を果たす。世界で活躍する有名選手も名を連ねる最高峰の舞台でひときわ注目を集めたのが山下結生(現2)だった。予選からハイレベルな戦いが繰り広げられた中で、高校3年生から止まっていた自己ベストを更新。目標の決勝には残れなかったものの、200m背泳ぎB決勝への進出を果たした。

集中した表情でプールへ入場

スタート前に向けて態勢を整える

レース後、自分のタイムを確認する様子

大学初の大舞台で立ちはだかったのは、リオデジャネイロ五輪銀メダリスト坂井聖人(SEIKO)。隣で試合に向け準備をするオリンピアンを目の当たりにし、山下は奮い立った。レース開始の合図とともに勢いよくスタートを切る。得意とする「後半追い上げる泳ぎ」を意識し、前半の100mを5位で折り返した。順位を維持し、最後のターンを迎える。坂井との差は体一つ分ほど。キックを打ち、腕の回転を速めた。無我夢中で泳ぎゴールへ。結果は1分58秒99で2位の坂井との差はわずか0.04秒。電光掲示板の一番上に表示された自分の名前を確認し、山下は雄たけびをあげ、喜びの表情を見せた。

「全てがうまくハマった」。B決勝でも自己ベストを更新し、上位選手へ存在感を示した山下。期待のホープがさらなる高みで輝きを放つ日はそう遠くない。

世界を見据えて

10月に行われた第64回日本選手権(25m)水泳競技大会でも山下は躍動した。苦手とする短水路での200m背泳ぎで、7位に入賞。4月にしのぎを削った坂井に再び勝利し着実に実力を伸ばす。好成績の裏側には周囲のアドバイスと弱点克服にあった。脚力とスタート後の潜水から浮き上がりまでの部分を見つめ直す必要があると自身で分析。ターンが増えても上位選手に後れを取らずに戦えるよう練習を積み重ねた。

胸から下の動きと滑らかなキックを打つことに意識を置く。背筋トレーニングや、バランスボールなどを用いて体幹中心に強化を重ねる。他にも推進力向上のため、新しい泳ぎ方を取り入れた。コーチからのアドバイスを受けストロークする際の入水角度を改善。その結果、効率的な泳ぎを習得し、楽に進む感覚を手に入れる。今回の日本選手権では余すことなく練習の成果を発揮し、自己記録と立教新記録を更新した。

次なる目標はジャパンオープン。アジア大会の選考にもつながる重要な試合だ。飛躍的な成長を披露した22年。「1分57秒台を出す」。長水路での自己記録更新にも山下は闘志を燃やした。世界も視野に入れた新鋭は大いなる舞台へと手を伸ばし続ける。
「立教スポーツ」編集部から
立教大学体育会の「いま」を特集するこのコーナーでは、普段「立教スポーツ」紙面ではあまり取り上げる機会のない各部の裏側や、選手個人に対するインタビューなどを記者が紹介していきます。「立教スポーツ」編集部のWebサイトでは、各部の戦評や選手?チームへの取材記事など、さまざまな情報を掲載しています。ぜひご覧ください。

writing /「立教スポーツ」編集部
経済学部会計ファイナンス学科3年次 生駒之和

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